砂場

この文章は、昨年の今頃に書いたもので。祖母の法事をきっかけにこの投稿のことを思い出したので、埋没せぬよう再掲しておこう。


移動の隙間時間に砂場。普段は食べないのだが、子供の頃に好きだった山かけ蕎麦を一杯。

ちとセンチメタルな話をすると、ここは亡き祖母との思い出の場所でもある。

子供の頃、大晦日になると二階の広間を借り切り、親戚が一堂かつ一同に会して黙々と蕎麦をすするのが定番であった。

亡き祖父が近隣の商社に勤めていたので若い頃から常連だった縁もあってのこと。年越し蕎麦目当ての客でごった返す店内を余所目に、得意げにしかしそっと二階席に登るのが楽しみであった。ちなみに今は残念ながら年末の二階席は開放していないらしい。

当時、この日だけは何杯注文しても良いという暗黙の了解があり、子供連中は何杯食べられるかを競っていたので、量を稼ぐべく始めはざる蕎麦を頼み、中盤でその時の気分で食べたいものを味合い、ラストに力蕎麦で締めるのが私の定番コース。

帰り際に、足の弱った祖父や祖母に手を添えて、急な階段を一緒に下るのもまた子供達の役目だったし、バブル前後に半端な状態で手付かずのままになった空き家や空き地を散策して帰路に着くのも密かな楽しみであった。

今では近隣は再開発され雰囲気も変わったが、今夜はこれから開発のシンボルの一つである虎ノ門ヒルズに。明日のカンファレンスの準備作業である。働き方を問うイベントの下準備が、前夜から夜通しの会場設営なり紙資料の封入作業というのは、滑稽だが笑い話にならない。コツコツ準備を進めようと思う次第。

明日は本番。あとひと頑張りせねば。