レポート:第54回BtoB/IT広報勉強会「本田哲也さんに学ぶ ナラティブカンパニー」

第54回BtoB/IT広報勉強会「本田哲也さんに学ぶナラティブカンパニー」

ゲスト:本田哲也さん

ニューノーマルな時代に、企業と社会の関係性を広告やPR、マーケティングの観点から考えて物語を作り、企業価値を最大化させるには–
今回は「ナラティブカンパニー~企業を変革する「物語」の力~」の著者で戦略PRの第一人者の本田さんに、書籍を起点としたナラティブの考え方を伺いました。

【講演内容ピックアップ】

■「ナラティブ」とは「物語的な共創構造」である

ストーリーとの違い。これは、よく聞かれるのでまず最初に。

1)演者の違い
主役が企業ではなく「生活者」が主役

2)時間の違い
ストーリーは起承転結があるが、ナラティブは常に現在進行形(終わらない)

3)舞台の違い
舞台は企業起点の競合や狭い業界ではなく、社会全体

■事例

事例を3つお話しいただきました。代表して「味の素」さんの事例を紹介。

<起きたこと>

Twitterであるユーザーがつぶやいた「冷凍餃子を旦那に手抜きと言われた」というエピソードに対し「冷凍餃子を使うことは手抜きではなく手間抜きなのだ」と反応し話題に。

<味の素がしたこと>
既存概念 「冷凍食品は手抜き」→新概念 「手抜きでなくて手”間”抜き」手作り信仰の呪いを解こう
元々あった企業の目的意識を「個人の投稿」に載せ「企業メッセージ」に昇華させた

 →ナラティブを作り、プレスリリースを行った(企業側の「手間」を可視化する)

<結果>
露出、売上、肯定的な意見、フォロワー、動画再生回数 すべてがアップ
生活を豊かにする選択であるということを物語的に伝えていけてい

■ナラティブスクリプトの構造

1社会的な大局観と課題提示
社会が何を求めているか(自分の企業が何やりたいかじゃない)

2自社のオーセンティシティないしブランド優位点
なぜこの会社がやるのか(登場人物の必然性が大事)

3未来のステークホルダー体験
未来の顧客体験をどうするのかを考えてからプロダクトを作る

■BtoCかBtoBか問題

BtoB企業だと、ナラティブが作りにくいのではという懸念に対し…

取引形態のBtoBやBtoCで区別する時代ではない。
例えば味の素の事例では、BtoC企業だけど、今回のことで喜んだのは工場のみんなだった(E:従業員)
スーパーマーケットがいいね!と共感し、取引が増えた(B:卸先)
→共体験になることが大切であり、バリューチェーン全体を競争的な物語にすることこそがナラティブ
最後には、ビジョンを持つことは大事だけれど、実践の時代になった、と締めくくってくださいました。
本田さん、ありがとうございました!
(今回のレポートは、運営メンバーの津川さんのまとめをもとに構成しました。ありがとうございました!)

【開催概要】

会場とオンライン同時開催
■講演者
株式会社本田事務所 本田哲也さん
■会場
SOIL(渋谷)
■スケジュール
18:30開始
前説 10分
編集部によるお話 60分
質疑応答 10分
交流 約20分
20:30終了