「ツール」から「成果」へ。AIが実務をこなす時代の広報とは

ここ最近、広報支援業務におけるAIの利活用方法を考えている中で、
AIは「仕事を効率化するツール」の域を超えるよなぁ、と思ったことがあったので、言語化してみます。
きっかけとなった記事がこちら。
Sequoia Capitalが公開していた「Services: The New Software」という論考です。
内容はとてもシンプルで、でも少しドキッとする話でした。
AIは「ソフトウェア」を置き換えるのではなく、
「サービス」そのものを置き換えていく。

つまりツールではなく、仕事そのものがAIに置き換わる可能性がある、という話です。
これは、PRの仕事を考えるうえでも、示唆が多いなと思っています。
PRの仕事はどこまでAI化するのか
最近、広報の現場でもAIを使うのも当たり前になってきました。
たとえばこんな仕事。
- プレスリリースのドラフトを書く
- 記事ネタを整理する
- メディアリストをまとめる
- SNSの動きを分析する
- レポートを作る
このあたりはもうかなりの精度でAIでできてしまう。
実際、自分も試してみると「これは早いし、実戦で使えるレベルだな」と思うことが多いです。
ただ、ここで大事なのは
AIが広報の仕事を奪うかどうかではない気がしています。
むしろ
PRの仕事の重心はどこにあるのか
という問いの方が本質かもしれません。
ツールの時代から、成果の時代へ
これまでPRの世界では、いろいろなツールが生まれてきました。
- プレスリリース配信サービス
- メディアデータベース
- SNS分析ツール
- クリッピングサービス
どれも便利です。
ただ、企業が本当に欲しいものは何かというと、
「作業の代替をしてくれるツール」ではなく、成果です。
成果の定義はいろいろありますが、たとえば
- 社会の関心を集める
- 理解が広がる
- 応援者が増える
企業が得たいのは、このようなアウトカムですよね。
ツールはあくまで手段。
AIが進化すると、この構造はさらにシンプルになる気がします。

企業は「PRツール」を買うのではなく、
PRという仕事によって得られる成果そのものを買うようになる。
言い換えると、これまでは
ツールを買って、人がPRを実行していた。
これからは
AIがPR実務を遂行し、その成果を買う。
そんな構造への変化です。
それでもPRパーソンの仕事はなくならない
とはいえ、広報の仕事がすべてAIになるかというと、
それも違うと思っています。
PR業務の中心にあるのは、情報処理ではないからです。
たとえば
- ナラティブを設計する
- 社会の文脈を読む
- 経営者の思想や意思を翻訳する
- 記者やコミュニティとの信頼関係をつくる
こういう仕事は、単なる効率化が求められるわけではない。
どちらかというと文脈の翻訳とか意味の編集 的な仕事です。

このあたりは、むしろAIが普及するほど重要になる気もしています。
(これすらAIが設計してくれる時代になる時代がくるとは思いますが。)
PRは「意味を作る仕事」に戻る
AIによって、広報の仕事の一部は確実に変わります。
でもそれは、PRパーソンが不要になるという話ではない。
むしろ逆で、
オペレーションがAIに任されることで、
PRに求められることはもっと本質に近づく
のではないのでしょうか。
つまり、
情報を処理する仕事から、社会に意味を作る仕事へ
変わってくる。

PRという仕事は、
もともと「露出を増やす仕事」ではありませんよね。
私は
誰かの言葉や挑戦を、
社会の関心へ接続する仕事
だと思っています。
ツールが進化しても、この部分は残る。
いや、むしろここだけが残るのかもしれません。
AIはPRパーソンの仕事を奪うのではなく、
本来あるべきミッションに戻すのかもしれないですね。
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日比谷尚武(ひびや なおたけ)
合同会社kipples 代表 / PRコンサルタント
慶應SFC卒。Sansan株式会社などを経て2016年kipples設立。スタートアップから上場企業・行政機関まで、広報・P R戦略の立案から実行支援まで幅広く手がける。







