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AIで広報のハードルは下がった。でも、判断軸だけは人から学ぶしかない

最近、数社のスタートアップの経営陣と、広報戦略を一緒に考えています。

以前は、「広報とは何ぞや?」というレクチャーから始めて、戦略の組み立て方を一つひとつ説明して、作業まで一緒にやって——それだけで相当な時間がかかっていました。

ところが最近、その初速が変わってきた。

AIが使えるようになってから、リサーチも、全体像をつかむことも、先方が自分でできるようになってきました。こちらがフレームワークやちょっとしたコツを伝えるだけで、「ちょっと調べておきます」が本当に機能するようになった。

かつてなら1週間かけてリサーチしたり、1ヵ月ぐらいかけて行っていた整理が半日で完成したりする。
もちろん精度は怪しいし、手を動かさないから理解度はそこまで高くない。でも、マネジメントに「ざっくり広報の業務や戦略の立て方を体感してもらう」目的では充分かもしれない。

でも。

AIが出した答えを、どこまで信じていいのか。どの深さで解釈する必要があるのか。そのさじ加減は、経験がないとわからない。

これはAI以前からそうであって、経験のない領域で「この情報は使えるか、使えないか」を判断するのは難しかった

広報の現場だと、こんな場面があります。

競合のプレスリリースをAIに分析させると、構成の特徴や差異はきれいに整理してくれます。
でも「このアングルは逆効果になりそう」「今のメディアの関心からはちょっとズレてるはず」——そういった想定はできない。そこに経験と文脈の蓄積が要る、と思っています。

AIは情報処理がめちゃ速い。でも、情報の周辺に存在する機微とか経緯を読む力は、今のところ人間の仕事だと思っています。

なので、支援のかたちも変わってきました。

以前は「広報の基礎から教える」がメインでした。今は「AIが出した答えを一緒に読む」がセットになっています。どこが正しくて、どこが怪しいか。なぜその解釈が広報的にまずいか。そういう話を、ケースを見ながら積み重ねていく機会が増えたし、意図的にそうしています。

入り口のハードルが下がった分、その先の「判断力をどう鍛えるか」が問われるようになった印象です。そうなってくると、場数とか現場感が勝つ世界だな、と。

ということで、、まだまだ現場に立っていないとなあ、と思うのでした。

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日比谷尚武

日比谷尚武(ひびや なおたけ)

合同会社kipples 代表 / PRコンサルタント

慶應SFC卒。Sansan株式会社などを経て2016年kipples設立。スタートアップから上場企業・行政機関まで、広報・P R戦略の立案から実行支援まで幅広く手がける。