「掲載されました」で終わらせない広報の成果報告 ——『広報会議』2026年9月号に寄稿しました

『広報会議』2026年9月号に寄稿しました。
今回の記事タイトルは、
「その数字、どうやって報告しますか? 成果を意思決定につなげる『仮説検証報告』」
ここしばらく考えていた、広報の効果測定と「社内への説明」の話を書きました。
広報の効果測定というと、「何を測るか」に目が向きがちです。もちろん、それは大事です。掲載件数、SNSの反応、指名検索、サイト流入、問い合わせ、採用候補者の反応。以前よりも、見える数字はずいぶん増えてきました。
ただ、数字が見えるようになったからといって、社内で理解されるとは限らないんですよね。
「掲載が増えました」
「サイト流入が増えました」
「SNSで反応がありました」
などと報告すると、経営や他部門から、
「で、事業にどんな意味があるんですか?」
と聞かれがちです。
この問いに対して、うまく説明できずに困っている広報担当の方は、意外と多いのではないかと思います。
「説明する難しさ」は、まだなくなっていない
このテーマについては、最近あらためて考える機会がいくつかありました。
先日、宣伝会議の講座にて、「広報の貢献度」を社内に説明するための広報PDCA設計講座を担当しました。
講義の準備をしながら、広報の成果をどう測るか、どう整理するか、どう社内に説明するかを、自分なりにかなり棚卸ししました。
そのなかで、ある会社の広報の方から、こんな相談を受けました。
「マーケティング部門に、広報業務の成果やミッションを説明するのが難しいんです」
よくある相談ではありますな。
そうだよなぁ、と思いました。
広報とマーケティングは近い領域に見えますが、見ている指標も、時間軸も、成果の出方も違います。広報側が「これは意味がある」と思っていることが、そのままマーケティング部門に伝わるとは限らない。
一方で、、
「この手の相談、いつまで経ってもなくならないな。。」
とも思ったわけです。
もちろん、その方の問題ではありません。むしろ、それくらい組織の中で広報の価値や役割を説明することは難しいのだと思います。
別の研修では、こんな話もありました。
「経営陣には広告換算で説明しないと通じないので、仕方なく使ってるんです」
PR会社の経験もあり、日本を代表する大企業で広報をされている方からの言葉だったので、正直、「このレベルの会社でもまだ、こうなのか」と感じました。
広告換算については、バルセロナ原則でも使うべきではないとされていますし、私自身も基本的には使わないほうがよいと考えています。
ただ、これもその方を責めたいわけではありません。
むしろ、広報の価値を組織内で説明するための共通言語が、まだ十分に育っていないということなのだと思います。
広報の効果測定は、「何を測るか」だけでは足りない。
ということで、今回の記事では、
測ったものを、誰に、どう伝えるのか。
相手の文脈に合わせて、どう意味づけるのか。
そして、それを次の判断や行動にどうつなげるのか。
あたりを書こうと思った次第です。
実績報告ではなく、仮説検証報告へ
記事の中では、単なる「実績報告」ではなく、「仮説検証報告」という考え方を説明しました。
「リリースを出しました」
「掲載されました」
「記事経由のアクセスが増えました」
もちろん、これらも大事な事実です。
でも、それだけでは、報告を受けた側は次に何を判断すればよいのかわかりません。
大事なのは、
- (成果として)何を狙っていたのか。
- 実際に何が起きたのか。
- そこから何がわかったのか。
- 次に何を変えるのか。
ここまで含めて報告することです。
つまり、「やりました」「載りました」「数字が増えました」で終わらせず、
そこから何が分かり、次に何を変えるのかまで報告する。
例えば「専門媒体に導入事例が掲載された」という事実でも、営業にとっては商談で使えるネタかもしれないし、人事にとっては候補者の興味をひく接点になるかもしれません。経営やIRであれば、また違う意味を持つはずです。
同じ事実でも、見る部門によって意味が変わる。
だからこそ、広報の報告は、数字をそのまま渡すだけでは足りない。
相手の課題や意思決定につながるように翻訳する必要があります。
今回の記事では、このあたりを図版も交えながら整理しました。
よろしければ誌面でご覧ください!
広報の効果測定は、測って終わりではありません。
数字の意味を翻訳し、次の仮説を生み出す。
そして、経営や他部門の意思決定に少しずつ接続していく。
言うのは簡単ですが、実際の現場ではなかなか難しいテーマです。
だからこそ、まだ考え続ける意味があるのだと思います。
あなたの会社では、広報の数字は「報告」で終わっているでしょうか。
それとも、次の判断につながっているでしょうか。
そんなことを考えるきっかけになればうれしいです。
広報の効果測定や、社内での理解促進、他部門との連携に関心のある方は、ぜひ『広報会議』で読んでみてください。
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日比谷尚武(ひびや なおたけ)
合同会社kipples 代表 / PRコンサルタント
慶應SFC卒。Sansan株式会社などを経て2016年kipples設立。スタートアップから上場企業・行政機関まで、広報・P R戦略の立案から実行支援まで幅広く手がける。








