天職はつくれる!Sansan日比谷尚武に聞く「キャリア」と「つながり」のつくり方

日刊キャリアトレック

 2016年7月/WEB 【インタビュー受けました】
※媒体サービス終了のため全文こちらに転載いたします。
天職はつくれる!Sansan日比谷尚武に聞く「キャリア」と「つながり」のつくり方

前回は日比谷氏のキャリア人生について詳しくお話を聞いたが、今回はSansanの「コネクタ」として社内外で積極的に「つながり」を作っている日比谷氏に、私たちでもできる「つながり」のつくり方と、併せて、自ら「コネクタ」という仕事を生み出した日比谷氏に「キャリア」の築き方について伺った。


日比谷尚武 大学卒業後、大手SIに新卒で入社。4年間の勤務を経て、後輩が立ち上げた社員10人あまりのベンチャー企業に転職。取締役として、システム開発・営業・企画・マネジメント全般に6年間従事した後、Sansan株式会社に入社。マーケティング、広報を経て、現在はコネクタ/Eightエバンジェリスト。Sansan名刺総研所長。


プライベートで「四畳半図書館」「アナログレコードの啓蒙」「江戸吉原の研究発表」

「四畳半図書館」があったアパート
実は働く傍らプライベートでは「四畳半図書館」というその名の通り、四畳半の部屋をかりて図書館をやっていました。

現在も「アナログレコードでロックを聴く素晴らしさを啓蒙する活動」や「父親が始めた江戸吉原研究の成果を、ポップに脚色して発信する活動」などもやっています。仕事に近いものだと「BtoB/IT広報勉強会」の主催も。

結果的に「四畳半図書館」がきっかけで知り合った編集者の中川淳一郎さんとのご縁で嶋浩一郎さんのPRセミナーに通い初め、それが現在のコネクタや広報、エバンジェリストの仕事につながっています。

仕事とプライベートの垣根がない

このように「コネクタ」として働く前からプライベートでのつながりが仕事になることも多くオンとオフを分ける概念がないんです。

過去にはベストチーム・オブ・ザ・イヤーを受賞。「コネクタ」はいいチームがあってこそ輝ける
仕事とプライベートが混ざった働き方をしていると「プライベートを純粋に楽しめないのでは?」とも聞かれますが、それらを義務でやっているのか、本当にやりたくてやっているのか、そしてそこに意味があるか、ちゃんとハラオチしないと私もモチベーションは上がらないです。恐らく皆さんもそうでしょう。

私の場合、ここまで仕事とプライベートが流動的になったのは「コネクタ」が仕事になったのが大きいです。今までは広報や経営の一環として、コネクタ的な動きをしていましたが、今は「コネクタ」として情報を拾ってきてマッチングさせることに集中できる。本当に天職ですし、環境のおかげです。

日比谷流「天職に巡り合うためにやるべき3つのこと」

一方で「コネクタ」という天職に巡り合えたのはなぜだろうと考えたとき、私自身は下記の3つが大事なのではないかと思っています。

1. 自分の強みを自覚する

 自分がもっとも力を発揮できること
 時間を忘れてやってしまうこと
 普通にやっているのに周りから「すごいね」と言われること


これらが何かを常に考え、仕事に生かす道を探る。例えばSansanの場合は、慎重で丁寧なAさんがいたとして、スピードが無いからといって急げ急げとは言わない。Aさんの強みは慎重で丁寧なところだから、じっくり考えてもらうならAさんだよねという環境を作ります。

強みと弱みは表裏一体、弱みを潰すのではなく、強みを伸ばす思考で仕事をし、自分の得意分野にイチ早く気付くべきです。

Sansan公式HPより
もし大企業や役割が完全に決まっている仕事の人は、その枠外のことがなかなかできず強みを見つけにくいかもしれませんが、社外活動でプロボノをやるなり地域活動に参加するなり、違う組織で役割を変えてやってみてアジャストしていくという方法もあります。

2. 求められている役割に敏感になる

 Will、Can、Mustの話になりますが、
 Will……やりたいこと
 Can……できること
 Must……求められること


組織で今は何が求められているか(Must)と自分はその中で何ができるのか(Can)と、一方でキャリアチャレンジとして何をやりたい(Will)か。これらは別モノなので、俯瞰で見ないと「やりたい!」「できる!」だけで会社に貢献できていない場合、その人は会社にとっては不要な人材です。若手に限らずここを理解できていない人はわりといる印象ですので、Will、Can、Mustは常に意識すると良いと思います。

日比谷氏「(超一般論だ……)」
3. 会社の経営方針や事業構造を理解する
仮に会社で働いている方だとしたら事業や会社の運営上のルールや構造があって今の自分の仕事があるはず。つまりは経営や事業のことをもっと知るべきです。

なぜ自分が今の環境に置かれ、なぜその仕事を任されているか。会社がこう動こうとしているから自分の求められていることが変わるんだとか、当然因果関係があります。それも分からず、自分だけ「こうしたい!」と主張ばかりしていては、世の中や会社についていけなくなり残念な結果に……。最低限の知識として、会社の事業構造や動向は理解していないと厳しいです。

日比谷流「全ての出会いをつながりに変えるテクニック」

そして前回もお伝えしたように、私のキャリア形成には学生時代から現在に至るまで「つながり」が大きく関係しています。もちろん「コネクタ」という仕事柄「つながり」を作ることも多いですが、仕事でもプライベートでも常に「つながる」ことは意識しています。

これは別にコミュニケーション能力だけの問題ではなく、ある程度はテクニックも重要。ですので、仕事でも飲み会でも「つながり」を作るのではあれば、

 相手の仕事についてちゃんと聞くこと
 自分の仕事についてちゃんと伝えること


この2つはマストです。

会話では一歩踏み込む勇気を持つ
仕事についてもただ何となく聞くのではなく、相手が業務上で達成したいことを聞く。例えば「メディアのPVを伸ばさなきゃいけない」「今期はこれくらい売らないといけない」など、皆さん仕事でやるべきことがあるはず。

「今の仕事ってどんなことやってるの?」「もしかしたら何かあったときに紹介できるかもしれないし教えて!」と一歩踏み込むのが大切です。

「つながり」の多さを物語る日比谷氏のMAC
コツコツ貯めた「つながり」は資産になる
逆に相手には、

 現在やっていること
 得意なこと
 困っていること


を伝える。そのつながりを少しずつ貯めていくうちに「そう言えばあの人にこの案件を頼めそう」「あの記者さんにこの人を紹介したら喜びそう」とか出てくるんです。
まずはギブアンドテイクができる関係の構築をコツコツ積み上げていくと良いです。助け合いができる基盤を作っておくことが将来の資産になりますよ。

でも、人見知りなひとはどうしたらいいんですか?

とはいえ、今の方法を直ぐに実践するのは難しいかもしれません。「つながり」は作りたいけど、仕事や飲み会で出会った人にそこまで踏み込めない……。そういった方は、

う〜〜〜ん
あっ!
自分がいる業界や職種に関連したコミュニティや勉強会に飛び込んでみるのはどうでしょう。自分が手掛けている分野の話はしやすいでしょうし、ハードルも低いはず。

コミュニティがない場合は他社の同じ職種の人達と食事をしたり、とっつきやすいところからやってみるのがいいです。他だと同級生。大学時代の友人達と久々に集まって「今何してるの?」って。何らかの共通言語がありつつ、今の自分とは違う環境にいる人、複数人とのランチがいいですね。まずはランチです!

身近な仲間だけが大事な「つながり」ではない

最後になりますが「弱いつながり」というキーワードがあり、必ずしも身近な仲間だけから、人生の大事な「つながり」が生まれるかといったらそうとは限らないわけです。一回会っただけの人との「つながり」から実は……というのも結構あるし、それが面白いし、人生の醍醐味。けれども最初はその価値に気づきにくい。

「つながり」は大事に貯めておいて、何かあったときにサプライズが起こりやすいようにしておく。早いうちからやっておくに越したことはないですよ。
最後の最後、PRになりますが、よければ早いうちからEightを使って「つながり」を貯めていくといいと思います(笑)もちろん使わなくても良いですが(笑)そういった視点を持って人と付き合っていくことが大切だと、今改めて感じています。

【キャリアトレック会員限定】おまけコンテンツ

記事内には掲載しきれなかった下記のコンテンツをキャリアトレック会員の方向けに限定公開いたします。

【おまけ1】Sansan日比谷尚武の原点「四畳半図書館」の誕生秘話
【おまけ2】「Facebookに猫ちゃんと赤ちゃんを」Eightエバンジェリストの本音と下心


【おまけ1】Sansan日比谷尚武の原点「四畳半図書館」の誕生秘話

四畳半図書館は最初「弱いつながり」で始まったんです。「ウェブはバカと暇人のもの」を出版する前の中川淳一郎さん、講談社に勤めている格闘家兼編集者の方と学生起業家クンと僕の4人でした。今から14〜15年前に、東池袋の四畳半の部屋(家賃3〜4万円)を借りて、そこにレコードとか本を溜めておき、皆でそこをたまり場にするという。今で言うシェアサロンみたいなものです。

mixiのコミュニティもある
もともとは学生起業家クンがそれぞれ私を含め3人とつながっていて「変わった人同士を集めてなんかやりたいんですよね」と。それで私も呼ばれて、実際に会いに行ってみると……ロン毛の貧相なおっさんと超マッチョで傷だらけの坊主のおっさんがいて……。その2人が中川さんと編集者の方でした。当時は面食らいつつも、面白そうだなと思い参加したんです。

最初は4人共、互いにそこまで面識はなかったんですが、月1で集まる内にその四畳半の部屋にライターさんや企画を立てる人も出入りしはじめて、そこからは一緒に銭湯に行くような仲に。

銭湯での一コマ
ちなみに、東池袋→恵比寿→戸越銀座と、各地を転々としながら約2年位やってました。図書館の性質上、不特定多数の大人達が出入りするので、隣人からは「何か怪しい取引き用の部屋では?」「危ない人達のアジトでは?」と疑われることもあって、移転を余儀なくされることもありました。

日比谷氏「健全なことをしていたんですけどね……(笑)」
残念ながら運営は終わってしまいましたが、現在も中川さんにはPRの相談をしたり、講談社の方にはライターさんを紹介していただいたりと、始まりは「弱いつながり」でしたが、今は公私共にとても良いお付き合いをさせてもらっています。
今思い返すと、昔の私はかなり受け身でその割には好奇心旺盛なタイプ。知らないおっさん達と一緒に何かするなんて普通に考えたら引いてしまうものですが「これをやったら面白い」と思ったらやる、これはもともと人生観として持っていました。
「四畳半図書館」の運営に一歩踏み込んだことが、結果として現在の「つながり」を仕事にする原点になってるかもしれないですね。

【おまけ2】「Facebookに猫ちゃんと赤ちゃんを」Eightエバンジェリストの本音と下心

Facebook疲れという言葉もあるように、ビジネスとプライベートのつながりが混ざりきったFacebookでは「何を投稿したらいいか分からない」「プライベートな投稿をしたいけど仕事の付き合いの人もいるし……」こういったケースが多々あります。
もちろん設定でコントロールできる部分もありますが、設定してまで投稿するものでもなかったり。そう考えるともはや何も投稿できず……。
そんな日比谷氏のFacebookは友達4999人

以前拝見したときは5000人だった
現在は4999人、あと1人しか友達は増やせない(Facebookの友達には5000人までの上限がある)
Facebook友達5000人の会に参加したところ……

Eightをアピールし過ぎたことでBuzzFeedさんには存在ごと消されてしまいましたが、Eightのエバンジェリストとしては本望です(笑)
私の本音としては、是非ともビジネスに関してはEightを活用して欲しいんです。Eightにはビジネスに関連したことを投稿する、そうすることでFacebookに猫ちゃんや赤ちゃんを気軽に投稿できる、そんな世界にしたいんです。
ここまでご覧になって下さっている方々にはお伝えしますが、私達の下心としては是非ともフィードをたくさん使ってもらいたい。そこをもっと有効活用してもらいたいんです。
例えばどういう使い方があるかと言うと、仕事の相談をはじめ、セミナーやイベントの告知、この記事かきましたとか、新商品出たよとか。仕事のお知らせをどんどんやってみて欲しいです。「つながり」の話にも関連してきますが、予想外の人から「ウチに営業に来てよ」とか「それならウチも寄稿するよ」とか何かが出てくるはずなんです。
現状はまだ名刺管理の色が強かったりもしますが、新しいコラボレーションを生み出す意味でも是非ともフィード機能、使ってみて下さいね。


▼記事前編
Sansan日比谷尚武が新しい働き方「コネクタ」を生むまでと生んでからの話