自分の広報ノウハウをAIに乗せたサービスを、こっそり作ってみた

今日の日経に、面白い調査結果が出ていた。
日本企業3割が「AI導入のため人員増」、世界の潮流とズレ あずさ調査 – 日本経済新聞日本では人工知能(AI)導入に伴って従業員を減らす企業より、増やす企業が多い――。あずさ監査法人の独自調査でこんな結果が出www.nikkei.com
あずさ監査法人が上場企業246社に聞いたところ、AI導入で「人員を増やす」と答えた企業が28%。「削減する」の17%を上回ったという。理由が「DX人材が足りないから」というのも、なんか日本らしいな、と思いながら読んでいた。AIを実務に落とし込める人材が不足していて、8割の企業がそう答えているらしい。
で、読みながらふと思ったのが「広報も同じだな」ということ。
ちょっと余談なんだけど、最近よく「職人と道具」の関係について考える。
好きな音楽の話で言うと、宅録の文化がある。MTRが普及して、DAWが安くなって、誰でも宅録できるようになった。でも、道具が揃っても「いい曲が書けるか」は別の話だ。むしろ道具が民主化されたことで、「センス」や「文脈の読み方」の差が、より露骨に出るようになった気がする。
AIと広報の関係も、たぶん同じだと思っている。
プレスリリースの文章生成とか、メディアリストの整理とか、SNS投稿のコピーとか——そういう「作業」はAIに任せられる場面が増えてきた。でも、「何のために発信するか」「誰の態度をどう変えるか」「どのメディアに、どんな文脈で当てにいくか」——そういう設計は、まだ人間がやらないといけない。
むしろ、AIがコンテンツを量産できる時代だからこそ、戦略の設計力と関係構築力の価値が上がっていると思っている。「ツールから成果へ」——最近よく使う言葉だ。
で、作ってみた
自分のノウハウをAIに学習させた広報・PR専門の相談サービス、その名も「日比谷尚武の広報相談室」。
https://pr-advisor.kipples.jp/
Sansanで広報部門を立ち上げた頃からの経験とか、kipplesとして10年近く広報コンサルをしてきた知見とか——登壇スライド、寄稿記事、ブログなどをぜんぶ突っ込んで、「日比谷尚武らしい回答」ができるようAIに学習させた。
プレスリリースの書き方、メディアへのアプローチ、炎上対応の初動、採用広報の設計……広報に関することなら何でも、チャット形式で相談できる。
コードは一切書いていない。Claudeと2日かけて共同開発した。
20代のあの感覚が戻ってきた
これ、作りながらすごく懐かしい感覚があった。
20代のころ、ウェブサービスを開発する会社の取締役をやっていて、ひたすらいろいろなサービスを作っていた。「こんなものを作りたい」というアイデアをエンジニアに伝えて、一緒にブレストして、形にしていくプロセスが楽しかった。ただ、時間もコストもかかった。アイデアが頭に浮かんでから実際に動くものができるまで、けっこうな距離があった。
今回、Claudeと一緒に作りながら、その感覚を思い出した。違うのは、それが1人でできちゃうことだ。エンジニアとのブレストがAIとの対話に変わっただけで、「こういう機能がほしい」を言語化しながらゼロから構築していく感覚は、あの頃とまったく同じだった。
ヒントをくれた、高校の同期
作ろうと思ったきっかけのひとつに、高校の同期である川崎 裕一さん(noteでは「マネタイズClaudeおじさん」として活躍中)の存在がある。
川崎さんも同じように、自分のマネタイズのノウハウをAIに乗せた相談サービスを作っていた。
彼がそのサービスを作った経緯を書いた記事が面白くて。最初は「事業計画書を採点するツール」を作るつもりだったのに、「採点されたあと、相談したくなるに決まっている」という気づきから、壁打ち相手へと進化していった話だ。自分の言葉で話すエージェントへのこだわりも、すごく共感した。
インターネット黎明期から同じ界隈でやってきた同期が、同じようなことを考えていた。なんかそれが嬉しかったし、「広報相談チャットつくろうかなあ。。」ともやもやしていた自分に、「自分もやろう」と背中を押してもらった。
なんで作ろうと思ったか
ぶっちゃけ、もう一つのきっかけはシンプルだ。
広報の相談を受けていると、「こんな初歩的なことを聞いてもいいのかな」と遠慮している人が意外と多い。スタートアップの創業者でも、広報担当者でも。「プロに頼むほどじゃないけど、でも誰かに相談したい」という温度感の質問が、宙に浮いたままになっていることが多い。
これ、もったいないな、と。
知識って、使われてはじめて価値になる。自分のなかに溜め込んでおくだけじゃ、誰の役にも立たない。アウトプットすることが重要だと言い続けてきた自分が、まだやれることがあるな、と思って作ってみた。
クラフトビールバー「ビビビ。」を始めたときも似たような感覚があった。「場」を作ることで、そこに来た人同士がつながって、自分が想定していなかった化学反応が起きる。PR Advisorも、そういうものになったらいいな、と思っている。
まだβ版で、回答の精度も挙動も改善の余地だらけだ。「完成してから公開する」より「使ってもらいながら育てる」方が正しいと思っているので、とりあえず出した。
広報の現場で働く人、スタートアップの創業者、「広報ってよくわからない」という経営者——そういった方々に使ってもらって、フィードバックをもらいながら育てていきたい。
あなたの広報の悩みや疑問が、このサービスをよくするヒントになる。そういう仕掛けにしたいと思っている。
ぜひ使ってみてください。







