なぜ三島は「よそ者」が心地よいのか? 歴史が耕した土壌と、人が淀まないコミュニティ

先日、静岡県の三島で行なわれた街歩きツアーに参加してきました。 少し早めに着いたので、関係者と合流するまでの1時間、あえて何も調べずにぶらぶら歩いてみたんです。
直近の登壇動画をレビュー(流し聴きしておかしなことを言ってないか確認する程度)しながら、知らない街を歩く。 すると、不思議なもので、視覚情報が普段より鮮明に入ってくるんですよね。気になるスナックの看板、昔の商店をリノベしただろうオシャレな書店、路地の佇まい。「この街、夜は違った顔が見えそうだな。。」という予感が走りました。



今回は、そんな三島で見つけた「人が集まる場の作り方」と「予期せぬつながり」について書き留めておきます。
■ うなぎが繋いだ「歴史」と「シビックプライド」と「伏線回収」
まずは腹ごしらえということで、老舗の「すみの坊」へ。 ここで地元のキーマンである、市役所/みしま未来研究所NPOののんちゃんやADDress濱野くんから聞いた話が、非常に興味深いものでした。
三島は、頼朝が三嶋大社を崇敬し、江戸時代は箱根の隣の宿場町として栄えた歴史を持ちますが、面白いのは「戦後」。 戦時中の疎開地として賑わった際、東京から来た学者や文化人が中心となって、「自分たちで街を良くしよう」というボトムアップのシビックプライドが醸成されたそうな。

空襲で焼かれなかった街並みと、そこに根付く自律的な精神。 高度経済成長期に新幹線誘致に成功したのも、この土壌があったからこそ。 一連の話を伺って、三島という街が単なる観光地ではなく、歴史的な経緯を背景とした「文化と自治のコミュニティ」であることを感じました。
時を超えた「伏線回収」
そのうなぎ屋の席で、予期せぬ再会がありました。 今回案内してくれた街づくりアンバサダーの石橋さん。話してみると、かつて私がSansan時代に開催したセミナーに参加してくれていたそうで。
その後もスタートアップで一人広報を担当するなかで、私の発信した広報関連のコンテンツをたくさん参考にしてくれていたとのこと。「日比谷さんの情報に助けられました」とお礼を言われ、正直、驚くと同時にちょっと胸が熱くなりました。
発信している瞬間は、それが誰にどう届いているかわからないもので、「どこかの誰かの役に立てばいいな」と思って、宛名のないボトルメールを海に流すような感覚でやっています。でも、こうして数年越しに、離れた土地で「実は届いていました」と教えてもらえるのは、本当に嬉しいサプライズでした。
■ 街の「循環」:新旧とカルチャーが混ざり合う風景
午後のまち歩きは、まさに「コミュニティが育つプロセス」を早送りで鑑賞しているようでした。 歩けば歩くほど、この街の「編集能力」の高さに驚かされます。いくつか印象的なスポットを紹介。

リノベーションと「場の継承」
まず面白かったのが、古い建物を活かしながら、そこに新しい意味を追加している場所たち。
- みしま未来研究所: 幼稚園をリノベした地域のハブ。活動の内容も地域の文脈(多世代交流、子育て支援などなど)に寄り添ったもの。マニアックなクラフトビールの品揃えに、運営スタッフの「好き」が滲み出ていますな。
- CoDoUみしま: 元居酒屋のスペースを、東京と三島で二拠点居住してる建築設計士の辰巳さんたちが運営。空間づくりが見事です。
- 喫茶ジェミニ: 昔ながらの純喫茶なんですが、地元で看護士をやってた茜さんが事業承継。レトロな空気感をそのままに運営されているのが素晴らしい。









カルチャーと「作り手」の気配
「誰かが何かを企んでいる」エネルギーもあちこちに。
- 古着屋BLU & Blu Wrap.: タコスと古着という組み合わせ。福岡出身の学生が、学生起業で始めた古着屋が、数年経ってカフェスペースにも進化。手作りの内装がセンス良く、これは真似したい。。若いエネルギーが、自らの力で街に新しいカルチャーを根付かせようとしているのを感じる。
- ginger books cafe: 独り歩きの時に一度足を運んでいたのだが。ツアーの時にも再訪問。加和太建設が手がけた出店支援プロジェクト「みしますきー」がきっかけで開店したそうだ。素晴らしい取り組みだな。
- YACHT: 突然現れた書店&アートスペース。ZINEや自主上映映画を扱うかなり尖った場所で、オーナーとはサブカル談義で気が合いそうだったが長居できず。信州にできる新しいクラフトブルワリーのzineを頂戴した。(後日、諏訪でも同じzineに遭遇する)
- 根継商店: ここは素晴らしかった。大工さんが常駐してワークショップをやっており、工房も貸してくれる。端材も安く購入できるなど、プロの技術と市民を繋いでいて、コミュニティスペースにもなっている。家の近くにあったらいいのになぁ。。
- 6curry: かつて恵比寿や渋谷時代に足を運んだこともあったが、その後三島に移転し、地元企業(加和太建設)や地元出身メンバーが引き継いで「地域のハブ」になってる。訪問した時はちょうどクリスマスパーティー中で、地元の方々がたくさん集まって賑わってました。さすが。実は渋谷店を居抜きで使わせてもらう話もあったのが懐かしい。












水とビールと酒の「流れ」
そして、三島といえばやはり「水」と、そこから生まれるもの。
- 源兵衛川: かつては汚れていた川を地域の人々が再生させたシンボル。川の中に置かれた飛び石を歩く体験はレア。あくまでも河川扱いなんだな。夏場は気持ちよさそうだよね。
- TIELS BREWING: 私の意向を汲んでいただき、コースに組み入れてくれたんだが。飛び込みでブルワーの秋田さんにご挨拶したら、なんとブルワリーまで見学させていただきました。ホームブルーイングの延長のスタンスで、寸胴&オリジナルのミルなど、各所にこだわりが光っておりました。
- Distillery Water Dragon: 訪問した日がクリスマスイベントとのことで見学はできなかったが、集まっている人たちの様子から、ファンに愛されてるのが伝わってきましたな。外壁や内装はOVER ALLsが担当。内装もしっかり見たいから、また見学に来ないとね。









こうやって見ると、行政主導のハコモノではなく、「人の想い」や「個人の偏愛」が起点になった場所が点在し、それらが水路のように繋がっているのが三島の魅力だと感じました。
■ デジタルの「ノイズ」と、アナログの「幸福」
夜はさらにディープな時間へ。
実は夕方以降、飲み食いしている最中、私のFacebookに「偽アカウント」が出現するというトラブルが発生していました。スマホには「日比谷さん、なりすまし出てますよ!」という通知がひっきりなしに。。)
普通なら焦るところですが、展開が目まぐるしく、気にしている暇もありませんでした。
- Smiles(スマイルズ): コスパ最強のイタリアンバル。三島の食材を使った料理を囲み、三島&小田原の話を、三島移住者のみなさんや塚田さん@小田原たちと語らう時間がとにかく心地よい。
- ジンのポップアップ: 若者2人がクラフトジン専門バーを立ち上げるべく、POPUPで開設しているスペースに。珍しいジンの取り揃えもよかったが、オリジナルのししゃもフライが絶品。頑張って開店してもらいたい!
- giwa: 1日1時間しか開かない元寿司屋カウンターのバー。ゲストハウスgiwa併設なんだが、地域のキーマンが集う秘密結社のような雰囲気であった。濃い。




(後半、偽アカ対策と会話に夢中でほとんど写真がない!)
物価は東京とさほど変わらないかちょっと割安な程度だけど、それぞれの空間の満足度が高い!
■ ふらっとつながれる隙間がたくさんある町でした
最後は、終電ギリギリの攻防戦。塚田さんと駅に向かうタクシーの中でEXアプリで新幹線を確保し、Apple Watchで改札をパスする。あやうく終電を乗り過ごすところだったぜ。。
帰りの新幹線で一日の出来事を振り返ったんですが、三島は独特な世界でした。 歴史的な背景はしっかりあるのに、閉鎖的じゃなくて、新しい人や文化をサラッと受け入れてくれる。自分のような通りすがりの人間でも居心地よく潜り込める「隙間」があるという感じ。

なんか気分転換したいな、、って時は、三島の水辺を歩いてみるといいかも。 もしかしたら、僕が立ち寄った「TIELS」や「6curry」みたいに、意外な共通言語で盛り上がれちゃう出会いが転がってる気がします。次は夜のスナック巡りに来ないとな。
今月もまち歩きが開催されるそうで、興味のある方はこちらからぜひお申し込みください。
https://luma.com/ywzixgyq
(Facebookの偽アカは、帰りの新幹線でしっかり対策しました。皆さんもお気をつけて。。)








